創業400年 老舗の力とプライド(矜持)

今回の西日本を襲った記録的豪雨によって被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
また犠牲となりました尊い命のご冥福と1日でも早い復旧をお祈り申し上げます。

さて、先日 創業から400年の竹田市菅生の(有)大地農場・(有)藤野屋商店の甲斐昇一郎社長が手掛けた「母豚1800頭繁殖農場」を一足先に視察させてもらいました。

当施設では、体重30kgの子豚を年間 「なんと50,000頭出荷予定」だそうです。365日で割ると毎日137頭という計算になります。
スゴ~イ!

5つの施設


この施設は、候補豚舎・交配豚舎・休息豚舎・分娩豚舎・離乳豚舎と5つに分かれ、候補豚舎は、母豚候補を70日令より7ヶ月令まで育成する施設です。

適齢期に交配舎へと移動させて交配豚舎にて人工授精により交配し、妊娠確認診断を行います。(交配後約30日)休息豚舎にて妊娠確認診断後から約80日間安静に過ごします。
*母豚の妊娠期間は115日で分娩となります。分娩1週間前に分娩豚舎に移動し分娩を迎えます。

分娩では子豚を13頭~18頭ほど出産し、約24日間の哺育期間後、離乳します。離乳した母豚はまた交配豚舎へ移動します。離乳ごとに各部屋は丸洗いされ,消毒を繰り返します。離乳した子豚は床暖房付きの離乳豚舎で約75日令まで飼育され、その後肥育農場へ移動します。

広大な敷地のなかで徹底した管理

何と言っても一番驚いたのがスケールの大きさ、10町歩の広大な敷地のなかで徹底した管理が施されている事です。
一般的に養豚と云えば豚舎臭気による周辺汚染と環境破壊問題が気になりますが、そこを根本から見直した畜産業の先進国の北欧デンマーク式システムの豚舎は全豚舎 完全冷暖房付きで「入気」そして「二重の脱臭フィルター」を通して「排気」され生物脱臭システム(バクテリアの働きを利用した臭気分解)を設置した従来の豚舎からは比較にならない位の消臭効果だそうです。

想像を超える衛生管理の徹底ぶり

また衛生管理面で【ふん尿混合ピット】は豚の水洗トイレで、ふん尿はスノコ下に落下し、豚がオールアウト後一気に浄化槽へ流される。ロット毎のオールイン・オールアウト可能により疾病への感染防止にも効果的なのだそうです。

豚舎から排出される豚舎の排水・洗浄汚水は、複合ラグーンシステム(直径34.5m×水深8.0m=水槽容量7474㎥の浄化槽)で処理されます。また処理水の一部はリサイクル水として再利用されます。豚糞は、密閉式の縦型コンポで堆肥化されますが1次脱臭、2次脱臭を通して臭気は大幅に削減されます。勿論、農場内で作業する人は、ワンウェイによる「シャワーイン・シャワーアウト」を導入。
ここまでの衛生管理の徹底ぶりには頭が下がります。

岡藩中川公御用商人「藤野屋」から

藤野屋さんは、太閤秀吉の頃の文禄3年岡藩中川公御用商人「藤野屋」としてローソクの商いに始まり、明治時代 精米業、製粉業へと転進…先々代甲斐誠一氏が昭和33年(有)藤野屋商店に法人化して家畜の飼料・鶏卵の販売へ。昭和46年甲斐正章氏(前社長)が継承し、昭和48年竹田市菅生に菅生支店開設、昭和52年には菅生に本店を移転し、大量輸送を目的とした㈲藤野屋運送(社長 甲斐浩二氏)を設立しグループ化を図りました。
そして昭和58年直入郡に養豚場㈲大地農場を設立。昭和62年直営養鶏場「藤野屋ポートリー」を設立。平成28年7月よりシンガポールに鶏卵の輸出事業も展開中。
平成29年からは甲斐昇一郎社長へと受け継がれ、竹田で一番の元気企業です。

ここまでやるか 老舗企業の矜持

今回、視察をさせていただいた正直な感想は「ここまでやるか」という想像を超える衛生管理でした。この農場の建設にあたっては、いろんなご苦労があったようにお聞きしています。

しかし、現実に「ここまでやるか」という徹底した取組みを見せられますと、400年にわたり当地で商いをしてきた会社が「地元に迷惑をかけるモノを作るはずがない」という気概、むしろ「地域の発展の為に全身全霊を賭している」という老舗企業の矜持を感じずには
いられませんでした。

これからの竹田市の経済界の牽引役として益々のご活躍をご期待申し上げます!